私はこの度、東大病院で右顔面麻痺の治療のための手術を受けました。
過去の聴神経腫瘍の手術とその後のケアは、脳神経外科の中冨先生が担当されていますが、今回の顔面麻痺の手術は、形成外科の岡崎先生に執刀いただきました。
先生曰く、「手術は顕微鏡を見ながら血管を繋ぎ合わせるなど、とにかく細かい作業が多い」そうで、計8時間を要しました。
ちなみにこの手術ができるのは、日本に数人の医師しかいないそうです。私はラッキーでした。
手術は、全身麻酔で行われました。
病室に戻ってからは、とにかく寒くてガタガタ震えており、後で熱を測ったら39度ありました。輸血の用意もありましたが、今回は必要ありませんでした。
切った箇所は、全部で6個所です。
顔面右上の頭皮から右耳前、顎の真ん中より右寄り側(正面からは見えないが、顎のすぐ裏側)、口左側を口の中をから左頬耳寄り、そして左耳前。また、広背筋肉を移植するため、左脇の下13センチ、大腿筋膜を移植するため、左ももを6センチ切開しました。
脇からは筋膜を「できれば2つ、それが不可能なら1つ」取りたいと言われていましたが、2つ取るのに成功したようでした。
手術直後から左ももの傷が痛く、次の日「トイレまで歩きましょう」と言われましたが、ももが痛くて歩けず断念、翌日から歩きました。
実は、術後に脇、ももの皮膚下(体内)に長い管も入れており、常に痛かった。特に脇はそちらを下にして眠ることができず、辛かったです。
ちなみに、脇、ももの傷の下の部分は大きく腫れて、それが退院後も暫く続きました。腫れたところは感覚がなかった。私は以前、脳の手術で右ももの筋膜も取っていて、右ももにも11センチの赤い傷が残っています。今回の形成外科の手術では、少しでも傷を目立たなくする様、皮膚を少し盛り上げて縫っています。この盛り上がりは次第に落ち着いてくるそうで、ずいぶん目立たない傷跡になりそうです。
顔の腫れ具合は毎日違いました。術後3日目は瞼がお岩さんのように腫れ、持っていった本は全く読めませんでした。この頃が腫れのピークであり、その後下降線をたどって行きました。
術後5日目にももの管が取れました。そうなると脇の傷が気になって余計に痛む感じ…。ちなみに顔や頭皮の傷は、周りが麻痺しているので、痛みを全く感じませんでした。
顔の腫れは約1年で引くそうです(!) 二人の医師から、「とにかく笑って」と言われました。楽しくて笑う時に使う筋肉は、愛想笑いをする時や、顔の体操をする時の筋肉とは違うそうです。笑わないと、せっかく筋肉の移植をしたのに動かなくなってしまうから、本気で笑えと。
入院から3日目に手術、退院は手術から2週間後と言われていましたが、経過も順調だったので、予定より3日早く退院できました。1年以上後に、修正術を行うかもしれないそうです。
過去に受けた脳神経外科の手術に比べ、今回は入院期間がすごく短かったのでとても楽でした。それから、右顔面は今は腫れていて口角も上がらないけど、1年たてば動くとのこと、ちと心配ですが、先生を信じて時が経つのを待つことにしまーす。
貴重な体験談を拝見させていただきました。有難うございます。とても大変な手術であり、痛みも強く並々ならぬ手術を乗り越えたことに敬意を表する思いです。私の娘は、羅患した左顔面神経麻痺の後遺障害により表情筋が動かず、笑顔ができない状況です。とても明るく活発な娘でしたが、その後は人と接する時には顔面を隠しがちになり、心理的負担をもって生活しています。それでも、医療従事者として患者さんのために頑張って仕事をしています。
今回、顔面神経麻痺再建手術に一縷の望みを託して調べています。投稿日から1年経過していますが、その後は如何でしょうか。笑いの表情は如何でしょうか。お答えいただければ幸いに存じます。
oka様
はじめまして。
神経線維腫症2型 NF2hopeの管理者 溝川と申します。
どうぞ宜しくお願い致します。
当ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
そして、ご連絡が遅くなってしまい申し訳ございません
oka様からいただきましたコメント拝見させていただきました。
娘様への想い、心痛お察しいたします。
早速ではございますが本題に移らせていただきます。
「投稿日から1年経過していますが、その後は如何でしょうか。笑いの表情は如何でしょうか。お答えいただければ幸いに存じます。」の
ご質問ですが再建手術をされて投稿したご本人からコメントをいただきました。
以下本人のコメントです。
『私は、これまでの脳腫瘍の手術の後遺症で、右顔面に麻痺が出て、垂れ下がったような状態になりました。
また右目にも影響が出て、完全には閉じなくなり、閉じきらない部分は乾燥して眼球は白くなり見え方はモヤがかかっている状態でした。
ですので顔面麻痺を改善する手術を受ける際には、このまぶたも閉じきる手術を同時に受けました。
術後1年半が経った今、普通にしていれば顔面麻痺はほぼわからない程に回復しました。上がらなかった口角も今は上げて笑えます。
ただ、上がり過ぎて麻痺のない左側と差がでています。でも口角の上がり過ぎを抑える手術をすることが可能だそうです。
また右の上唇が上がらず笑った時に歯が見えません。下唇も動かないので下の歯も見えません。
これは今後まだ動く可能性があるとのことなので、定期的に受診して状態を診てもらっています。
右目は少し閉じきらない部分が残っています。まだ眼球は白いままで、この白い部分は手術すれば改善するようですが今のまぶたのままだと
またすぐに白くなってしまうそうです。この点については再度医師と相談です。
あと右の頬に少し不自然な膨らみがあります。でもこれも手術を受ければ改善するそうです。こういう微調整はいくらでも可能だと医師は
言っていました。』
少しでもご参考になれば幸いです。
宜しくお願い致します。
神経線維腫症2型 NF2hope 溝川