知識としての情報発信であり、患者一人一人の症状も異なることをご承知ください。
水頭症については、その症状などを含めて脳神経外科サイトの説明と共にご紹介していきます。(不定期に加筆)<水頭症とは>
水頭症とは何らかの原因によって髄液の循環・吸収障害が起こり,その結果,脳室の異常拡大が生じたもので,小児,成人を問わずに発生し得る病態です.
髄液は脳を外部の衝撃から保護し、脳圧をコントロール、脳の老廃物の排泄、栄養因子やホルモンの運搬などの様々な役割があると考えられています。この髄液は、脳の中にある脳室と呼ばれる風船のような部屋の脈絡叢から生産されて、その後脳及び脊髄の表面を循環して、脳や脊髄実質のとても細い毛細血管から吸収されると考えられています。しかし、正確な髄液の吸収部位は明らかになっておらず、頭蓋の正中に存在するくも膜顆粒、その他脳・脊髄神経周囲腔、頸部リンパ組織でも吸収されると考えられています。
<分類>
水頭症の分類として「非交通性水頭症」と「交通性水頭症」があります。脳室の経路で髄液の流れが悪い場合は、「非交通性水頭症」といい、脳表のくも膜下腔での髄液の停滞や生産、吸収に問題がある場合は「交通性水頭症」といいます
非交通性水頭症
髄液の循環を妨げている閉塞部分が脳室内にある場合。
脳腫瘍などの病変で髄液の循環路がふさがれることによって脳圧が高くなり、頭痛・嘔吐・意識障害などの症状が起こります。これらの症状は急性増悪することがあるため注意しなければなりません。
交通性水頭症
脳室内に閉塞原因を認めない水頭症。脳の周りを回っている髄液の流れが悪くなり髄液が停滞し脳室が拡大してしまう状態.でNF2患者に多いと言われています。これは脳室拡大がみられるものの頭蓋内圧が軽度上昇または正常範囲に保たれていることが多く、歩行障害・認知症・尿失禁などの症状があり、正常圧水頭症と呼ばれています。
多くの場合は過形成性グリオーシスで、中脳水道という髄液の流れ道がつまって水頭症(中脳水道閉塞)になります。これは急に症状を出すことがなくて慢性の頭痛などを生じる停止性水頭症になりやすいです。治療は,内視鏡を使って髄液の通り道をあける第3脳室開窓術を行えば治ります。
•もう一つ、NF-2に生じる現象ですが、脳腫瘍が多発することによって髄液吸収障害が生じて、交通性水頭症になります。この場合に、特に気を付けなければならないのが脳室が大きくならない (slit ventricle) ので、水頭症ではないと思ってしまうことです。眼底検査をすると、うっ血乳頭かあるいは乳頭萎縮の所見があります。急いで、脳室腹腔シャントをしなければなりませんが,定位脳手術でしか脳室端を刺入することができません。
<治療選択>
水頭症の手術治療は、症状を引き起こしている原因によって選択されます。水頭症の多くは、脳室系に閉塞があるか、髄液の吸収が低下していることが原因となっています。そのため過剰にたまってしまう髄液量を減らしたり、調整する必要があります。手術方法としては基本的にシャント手術、また病態によっては内視鏡的第三脳室底開窓術が行われます。