私は聴神経腫瘍の摘出手術を受けました。手術時間は9時間だったと思います。
両側に聴神経腫瘍がありましたが、先に失聴していた左側の腫瘍は7年前(18歳)にガンマナイフを当てていました。
当時、右側は聴力が正常であったのでガンマナイフは当てず様子を見ていました。
そして、自然経過で右側の聴力低下が現れ始めたのは20歳の頃でした。
聴力低下の進行は緩やかであったので、しばらくの間は補聴器を装用して生活していました。
その後、右側の聴力が100dBまで低下しましたので、今回、開頭手術にて右側の聴神経腫瘍を
摘出することになりました。
腫瘍の大きさは確か4cm程度で、顔面神経と聴神経に出来た腫瘍が二つ一緒になっているということでした。また、腫瘍が小脳にも癒着しているということで、後遺症として運動失調、意識障害、半身麻痺が残る危険性も指摘されていました。
手術の目的としては、顔面神経は正常に働いているため絶対に摘出したくないということでした。
執刀して下さった先生のお力のおかげで、顔面神経も小脳も傷をつけることなく聴神経腫瘍のみを摘出することができました。術後、軽い顔面麻痺が出たので、それに対する顔面マッサージや顔面運動などのリハビリは退院した現在も自宅で続けています。
顔面麻痺は、数か月で回復するようです。大した後遺症はないので私自身も家族も安心していて先生に感謝しています。
9時間に及ぶ手術で先生方は非常に大変だったと思います。本当にありがとうございました。
今回の手術で最も大変だったのは、術後、頭痛と吐き気、嘔吐が続いたこと、1週間ふらつきがひどく歩行が難しかったことです。退院するまで、痛み止めとしてロキソニン、消化不良に対してはガスター、神経に対してはプレドニンとメチコパールを服用しました。
歩行に関しては、術後1週間経ってから理学療法による歩行訓練を受け、少しずつ改善していきました。
ふらつきに関しては、摘出手術を受ける前から現れていました。
残念ながら、このふらつきは腫瘍を摘出しても改善はされないそうです。
暗闇に入ると視覚が妨げられるせいで酔っ払いのように足がもつれ、バランスを崩すことが現在でもあります。
しかし、日中に理学療法を思い出しながら散歩をしていると体の横揺れや蛇行が減ったように感じています。
決して安定した歩行ではないので、退院後、転倒防止に介護用の杖を購入しました。インターネットで探してみると、若者向けに杖の柄がキャラクターであったりカラフルな物もあったので堂々と使えると思います。
また、本が読みやすくなり喜びを感じています。これは、もしかしたら小脳から腫瘍を切り離せたことによるものではないかと思っています。これまで、本を読む時は一文を指で辿りながら読んでいました。なぜなら、そうしなければ視点が乱れ途中でどこを読んでいたのかわからなくなるからです。そのせいで、読むスピードも遅く、たどたどしくなり、話の面白さがわからずイライラしていました。
視覚や聴覚で感じる楽しさを失い、つまらない毎日を送っていました。
でも、人生は喜びと悲しみを繰り返しながら進んでいくのだろうと今回の手術で感じることができました。
人生山あり谷ありというように、谷があれば次は山へ登るしかないのです。
病気があろうがなかろうが、人の生きる道はみんなそうやって出来ているのだろうと私は思いました。
また、人間は一人で生きていません。必ず、人に支えられて生きています。
自分自身を支えてくれる人が必ずいます。
「感謝」の気持ちを忘れなければ、人間どんな運命でも「幸せ」に満たされるのではないでしょうか。
今回の聴神経腫瘍の手術は想像以上に辛いものでしたが、私はどんな治療を受けても神経線維腫2型と共に生きていけると確信しました。